本を贈る

三輪舎
著者
島田潤一郎 / 矢萩多聞 / 牟田都子 / 藤原隆充 / 笠井瑠美子
川人寧幸 / 橋本亮二 / 久禮亮太 / 三田修平 / 若松英輔
2018年9月30日初版発行 四六判変形・304頁 本体1,800円+税

建築設計を仕事にしていると、
一軒の家が建つのに延べ何人の職人さんが働いたのか 、
いつも途方もないことと感じる。

ほかにも自動車とか飛行機とか、大きなモノは
なんでもそうなのだろうけれども、
“本”というのはその大きさの割には関わる人数が
それこそ途方もなく多いと思う。
重量当たりに換算したら住宅より多くなるのではないか。

そういう、本に関わる様々な立場の人たちが、
タイトルのとおり、贈り物のように本を作っていることが
本書を読むと本当によくわかる。

それはなにも、美しくも純粋な善意で
“あなたのためにつくりました”と
御為ごかす気持ちで、ということではない。

誰が買ってくれるかもわからず、
むしろ買ってくれるひとがいるのかもわからない、
ぐらいの不安も抱えながら、
それでも買ってくれるだれかのために、
自分のベストを尽くしておこうとする気持ちだ。

自分がそうでいられただろうかと、
来し方を振り返ってすこし厳粛な気持ちになった。
本書の美しい装丁と手触りのおかげ、
またはそのせいかもしれない。