本を読む小屋 第1号

やませみ文庫(instagram)
夏谷隆治 編集
2022年8月10日発行 B6判・44頁 本体455円+税

遠野という地名そのものが、
秘境のイメージを内包している。

その秘境の中でもさらに奥地、
附馬牛という地域にかつて存在した
民宿「わらべ」の在りし日を、
関係者の聞き書きを主として特集したリトルプレス。

各書店では発売早々に売り切れてしまい、
当時の思い出を持つ人、知らない時代を知りたい人の
気持ちの強さをひしひしと感じる。

本書を発行した「やませみ文庫」は、
民宿わらべがあった場所のすぐ近くにある。
農家小屋を改修して、大きなテーブルを置き、
お茶を飲みながら本を読める図書室と、
古本を売るスペースを設けてある場所だ。
つまり本書のタイトル「本を読む小屋」は
やませみ文庫自身のことでもある。

特集の他の連載も本当に面白い。
背表紙もない小さなリトルプレスだが、
読み応えは単行本ほどもある。
続刊が楽しみだ。