ころから
著 丸山 晶代 / 写真 渡邉博海
2019年11月11日初版発行 B6判変形・184頁 本体1,500円+税
ちくわぶを初めて食べたのは、大人になってからだと思う。
たしか在京時、コンビニでおでんを求めた際に
気まぐれに買ってみた気がする。
ちくわ、と名前に入っているので
ちくわはもちろん、さつま揚げやごぼう巻きと同様に
練り物の類と思いこんだらしい。
口にするまで「小麦粉のかたまり」であるとは知らず、
軽く衝撃をうけた覚えがある。
とはいえ、もともと地元のすいとん(ひっつみ?)は好物だったし
ちくわぶにも似たような美味しさを感じた。
もちっとした食感とか
煮すぎるとドロドロするといったような
共通点がみられるからか、
全く知らない食べ物とは思わず、
むしろどこか懐かしいような気持ちになった。
ただ、その後ちくわぶを食べたかというと
すっかり忘れていた。
もともと食べる習慣になかったからか?
岩手のコンビニには、おでんラインナップに
ちくわぶは入っていなかったのか?
その存在などすっかり忘れ、
ちくわぶは食事の選択肢にも
スーパーでの買い物リストにも入ってこなかった。
ところが、これを読んでしまったら
ちくわぶのことが気になって仕方がない。
昔食べたあのちくわぶの味、食感の遠い記憶を
もう一度体験したい衝動に駆られている。
よりによって
おでんのベストシーズンである冬が終わった後に
これを読んでしまった。
ただ、本書によると
ちくわぶはおでん以外にも幅広く味わえるようだ。
それを真似て
ちくわぶカツ丼を作るかどうかはともかく、
とりあえず、いつも行くスーパーに置いてあるのか?
早急に確かめたい気持ちでいっぱいだ。
あなたのこと忘れていてごめんね、と思えるからか、
ちくわぶを何だか応援したくなる一冊。