10月13日の「書肆みず盛りの知りたい世界」の場と
10月14日のワークショップのそれぞれで、
ねぶた作家・太田空良さんにねぶたの彩色技法を
間近で見せて頂きました。


「知りたい世界」では、紙貼りまで仕上げた面を
お持ち頂いて、そこに彩色を。
ワークショップでは前回同様に、思い思いに描いた絵を
アクリルフレームに挟み込む過程で、
色の付けかたや蝋の使い方を教わり、実際に
やって見せて頂きます。
和紙に蝋で線を引く(面を塗ることもある)と、
その部分は絵の具をはじき、裏からの光が透けて見えます。
これを応用して、色を付けてから蝋を乗せると、
先に付けた色に透けて見える、ということになります。
和紙に水を含ませてから絵の具をつけると
自然にぼやけてにじんでいきます。
それらの透かし具合とグラデーションを活かして、
あざやか、かつ深みのある色づけをするのが
ねぶた・ねぷたの彩色技法の特徴でありおもしろさです。

説明を受けて実例を見せて頂くととても綺麗で、
わ~これを自分も描けるのか~と
テンションが上がります。


しかし、見るとやるとでは大違い。
空良さんがスゥッと綺麗に細く引く蝋の線、
グラデーションにぼける美しい線が、
自分でやるとできない…なぜだ。
とかいいながら、ワークショップご参加の方は
ぼかしと透かしを活かして見事な重ねコラージュを
作っておられました。
すごい、巧い!!



ワークショップで行うのは机に置いた平面の紙に
絵筆で色をつけるやりかたですが、
実際のねぶたは、針金で組んだ骨に貼った和紙、
つまり造形が完全に出来た状態で色つけします。



当然、盛り上がったところ、へこんだところ、
向きも上向き下向き横向きと、いろんな向きで
描かなくてはなりません。
それに比べれば、机に置いた面は簡単ですー、
と空良さんは軽~くおっしゃいますが、
いやいやいやいやいや…
しかも、目の位置だけは鉛筆で軽く下書きするものの、
他はぜんぶいきなり筆で一発描き!!マジか!!!

描く対象の特徴や表情をどう描くか、完成形が
最初から頭の中に明確に存在して、そのつもりで
骨組みを進めているので迷うことはないそうです。
だから細かく段階を踏んで、皆さんに説明しながら
すいすい進めていけるんです。



立体造形というのは、芸術作品であれ
建築であれ、完成形をきちんと理解できていないと
先に進まないという一点で通ずるものがありますね。
それにしても…
“下描きなしの一発勝負をしゃべりながら説明しながら
進めて、120分で面が完成する”んですよ…
意味わかんない…
その技術や研鑽もさることながら、
ねぶたの歴史や意義や在り方、題材となり得る
物語や歴史などへの造詣、それを伝える説明の巧さ、
そもそも伝えようとする熱意。

ねぶたアート作品の制作だけでなく、
ねぶた・ねぷたについて語り合うディスカッション、
ねぶたアートの合同展示会なども主催して
文化としてのねぶた・ねぷたをいきいきと
継承し続けるための活動を行っているのも、
空良さんの凄さを裏付ける背景のひとつです。

これからもねぶたアートの創作やねぶた制作に
邁進していく空良さんが、どんな美しさを
見せてくれるのか、本当に楽しみになった
イベントでした。
ご参加くださった皆様、太田空良さん、
本当にありがとうございました!!