今月の「書肆みず盛りの知りたい世界」は、
岩手県立博物館学芸員の髙橋雅雄さんをお迎えしました!
とにかく、専門性を深めるということは
こんなに凄いんだ、おもしろいんだということを
ひしひしヒシヒシと感じました。
岩手県立博物館の現在の企画展「捕食者の献立」は
ひとくちに肉食獣・猛禽といっても、種によって
狙う獲物はまったく違うということを
身近に感じてほしいというテーマを持って
企画なさった、というところから話は始まるんですが…
実は県博所蔵の剥製は全国でも有数に質の高いものである、
ということも明かされて、開幕早々にびっくり!!!
素晴らしい技術を持った剥製師が岩手にいて、
そのおかげで質の高いコレクションができている。
だからぜひ多くの方に見てもらう機会が欲しい、
というのもひとつのきっかけだったそうです。
そういうことを知って企画展を見に行くと
見え方もまたまったく変わってきそうだなあ、と思います。
もう一回いこ。
髙橋さんのご経歴を伺ってもまたおもしろい。
と言っては失礼かも知れませんが、
単にご自身が鳥好きでこの道を歩んで来ました、
と言うにとどまらない、ご縁や流れもおありで、
導かれたというのとはまた違う深みがあります。
そもそもご専門は、田や草原にいる鳥の生態。
これまでの研究で印象的な鳥のひとつはケリで、
田んぼの真ん中に巣を作ったりするのですが、
気性が荒く戦闘的で、卵や雛を狙う敵とも
ガンガン闘うのでそういう場所でも営巣できるとか。
トキの研究にも携わっておられて、その間の活動とか。
興味深い、でも普段の生活ではぜんぜん知らないような
世界の話が次から次へとわんさか出てきます。
ここまでで前半ですからね。
話のボリュームが半端じゃありません。
後半には、できるだけご参加の皆さんの聞きたいことを
聞いてほしいと思ってご質問時間も早めに設けましたが、
皆さんからもお聞きになりたいことが出るわ出るわ…
数年前に大変話題になった、シジュウカラが会話する話。
コレを質問してくれた方もいらしたんですが、
それを研究して発表された研究者の方が、
まさかの髙橋さんの一コ下の後輩!!
そしてその研究内容の、あまり広まっていない具体的な
研究内容の話もたくさん聞けて、「えぇ~…」
「へぇ~…」「ええぇ~!?」の連発でした。
鳥に限らない自然環境の保全についても伺いましたが、
やはり専門的にきちんと観測していなければわからない
難しさもあって、大変勉強になりました。
環境で言えば、東北六県の中でも岩手だけ
「あるもの」がない、という話にもびっくりしました。
理由を伺うと確かに納得するんですが、これは
鳥だけを追いかけていてもわからない分野です。
そのぐらいの視野の広さも髙橋さんの本当に凄いところ。
お話の終盤、どうしても私が触れたかったことなんですが、
ご自身の趣味で美術・絵画が大好きだそうなんですが、
その絵の見方もすごいんです。
これは私が何か語るより、ぜひとも実際に読んで頂きたい。
絵の見方・着眼点、画家がどう考えたかの考察と愛情、
批評の骨の太さ…
もう脱帽。お話が巧い、面白いだけでなく
文才まであるんですか、とため息が出ます。
とにもかくにもおもしろい、興奮する、驚く話が
本当にもう山盛りで聞かせて頂きました。
終わったとたんに「またやって!」「毎月やって!」と
お声も頂いて、大満足の3時間でした。
(私が興奮してしまって大オーバーしました…
みなさま申し訳ございません)
髙橋さん、ご参加くださった皆様、本当に本当に
ありがとうございました!!