『知りたい世界』第22回終了しました!

現在開催中の「ささきみえこ物語刺繍作品展」
に合わせて、東京から盛岡へ、
ささきみえこさんがお越しくださいました!
そのタイミングに合わせて『知りたい世界』を
お願いしてご快諾くださり実現した第22回。

なにしろ面白かった!!

みえこさんの刺繍作品は、どれを見ても
“物語”があります。
映画や小説のワンシーンのような、
作品の場面に至るお話、その後のお話を
想像させてくれるような絵ばかりです。

「この作品はどういうシーンなんですか?」
と伺うと、ご自身の原風景や、ご自身が思い描く
ストーリーがすらすらっと出てきます。
展示作品の解説だけでトークが一回できるような、
ワクワクするお話ばかり。

ささきみえこさんはご出身が北海道の帯広。
十勝平野の真ん中に市街地があって、
西に日高山脈、東に太平洋。
日高山脈は岩手山とそう違わない標高の山々があるので
けっこう高々とした山脈です。
遠くに山並みが連なって見える岩手内陸部の風景は
ちょっと似てる、とみえこさんがおっしゃってました。
とはいえ、帯広のすごいところは気温。
真冬はマイナス30℃以下(!)を記録したこともあり、
とにかく寒い!

今回の展示作品には銭湯の光景を刺したものがあって、
これがまた可愛くて、前後を想像させる情景で
めえちゃめちゃステキなんですが、これも
みえこさんの子供の頃の思い出。
銭湯は広くて暖かいんだけど、冬場は外に出ると
濡れたまつげがすぐ凍り付いて、瞬きすると
開く瞬間まぶたにぐっと力を入れる必要があるんですって。
岩手で暮らしていてそこまでの記憶はない…
帯広おそるべし…

でもそんな姿が刺繍で描かれていると、
厳しさよりも、なんというか、暮らしへの慈しみ、
のようなものを感じます。

その源流にあるのは、みえこさんの創作、芸術に向ける
姿勢のようなものでしょうか。
大学で彫刻に取り組み、イラストレーターとしてのお仕事が
いまも続いていらして、刺繍だけではなく、
幅広く創作しています。
普通の生活の中に、彫刻をつくる設備や環境を整えるのは
とても大変なことなので諦めたけど今でも好きなんだそう。
つくる、ということ、ご自身から湧き上がる「つくりたい」と
向き合っている、という印象を受けました。

依頼されてつくる刺繍作品もあって、そのお話もまた
おもしろかった~!
企画と同時展開しているみえこさんのご著書に、
新幹線と特急の刺繍、はたらく車の刺繍の作品集があります。

企画の相談を受けたとき、みえこさんのお子さんは
電車や車に強く興味を持っていなかったので、
そんなに身近ではなかった、と。
だからといって、思いきり四角形にデフォルメして
色だけ似ていればいいや、ということにはしたくない、
と、一生懸命図鑑を見て特徴を掴んで、できるだけ
リアルに表現できるよう工夫したんだそうです。
その甲斐あって、作品集は眺めているだけでも面白い、
こんな特急、車があるんだ~と大人が楽しめる図鑑として
きちんと成立しています。
これが写真だったらここまでおもしろくは読めない、
というのが刺繍の凄いところ。

技術的にも、ただ色の違う糸を刺しているのではなくて、
立体感を出すために色の組合せを考えたり、
刺す密度を変えたり、見せたいところに目が行くように
バランスを考えたり…
刺繍もまたひとつの絵、デザインなんだなあと
感動しました。

本をご購入くださった皆様へのサインも可愛い…
猫は表情豊かに擬人化できるのが面白い、と
おっしゃってましたが、まさになにか言いたげな、
話を聞きたくなるようなお顔。

やっぱり刺繍やりたい、復活しよう!とか
始めたい!とご参加の皆様が言っていたのが
とても嬉しかった~
楽しくて、興味深くて勉強になり、本当に面白い
お話をたくさん伺いました!

ささきみえこさん、ご参加くださった皆様、
本当にありがとうございました!!