Talk About Book 第6回

ちょっと前になりますが、第6回Talk About Bookを
さわや書店の名物店員・栗澤順一さんをお迎えして
開催しました!

年度末、書店・出版業界も絶対忙しいはずの時期に
間を縫うようにして貴重なお時間を頂く、という
申し訳ないタイミングでした…

が、そのおかげで本屋さんのお仕事の
知られざる一端を伺えました。

年度の変わり目というと、各学校の新入学生に合わせて
教科書の納入という大イベントが本屋さんに襲いかかります。
もちろんさわや書店さんでもその業務があるそうですが、
これがけっこう大変…

なにしろ、新入生●●人に対して●●冊の教科書を、
「入学日」「1冊の過不足もなく」納入しなくてはならない。
これが絶対条件です。
仕入れた本が何冊売れるか、売り切れたら人気だから
追加発注する、お客様には待ってもらう、という
通常の店売り業務とは発想がまったく違います。

しかも、受験が済んで、新入学生の人数が確定して、
入学までの間って、案外短いんですね。

というのも、岩手のような地方では都会と違って、
私立学校への入学するしないは、公立学校の結果が
決まってから伝えられる、いわゆる滑り止め受験が
一般的なので、私立学校の教科書納品業務は
公立校の合格発表後にしか動けないんだそうです。
これは聞くだけでも胃が痛い…

ふだん目にする本屋さんの仕事の裏では
こういうことも起こっているんですね~

栗澤さんご自身の担当なさる業務、
特に出張販売などあまり余所では聞かないお仕事や、
本屋さんにお勤めになる前のこと、転職の経緯、
どういう思いでそれらを続けているか、
そういったお話は、栗澤さんご自身のご著書
「本屋、地元に生きる」に書いてあることも多く
存じ上げてはいましたが、あらためて
ご本人の口から伺うと臨場感があり、
大変さの部分も実感がこもっていておもしろかった!

後半では、栗澤さんのお勤めのスタイルから話が始まり、
書店・出版業界の業態、慣習、実情なども伺いました。
本当に特殊で、客観的には衰退傾向の業界で、
最近ではその苦境もよく報道されますので多少は
見聞きしている内情も、本当に内部の枢軸の方から直接伺い、
ご参加の皆さんも「へえぇぇ…」「ほおぉぅ…」と
ため息の漏れるお話ばっかりでした。

たしかに大変な状況が長く続いている業界ですが、
減ったとは言え本を読む人はゼロにはならない、
きっかけさえあれば読み始める人もたくさんいる、
そういうことを肌で感じてきた栗澤さんだからできる
いろいろな取り組みや本屋としての在り方のお話、
私自身もとっても勉強になりました!

ご参加の皆さんからも、ふだん本屋さんで感じる
いろいろな疑問が出てきて、栗澤さんも
答えづらいところもあったかもしれませんが
じっくりお答えを頂きました。

ブログにはあまり書けないことがたくさん飛び出た
業界の話など、Talk About Bookにぴったりの充実の2時間、
栗澤さん、ご参加の皆様、ありがとうございました!!