岩手県立博物館・目時和哉さんにお越し頂いて、
『知りたい世界』が終了しました!

岩手県立博物館で8/17まで開催中の企画展
「星にねがいを-宇宙といわての年代記-」
担当学芸員の目時さん。
専門分野は古代~中世の歴史だそうで、
たいへん長~い時間軸の中で普段は研究をなさっています。

古代の歴史、というと考古学との境目も
素人目にはわかりづらいところで、
ご参加の皆さんからもご質問があったのですが、
簡単に言えば文献にあたるのが歴史、
遺跡遺物にあたるのが考古、という感じで
区分けしているそうです。
その、文献にあたる歴史と夜空に輝く星との関連は、
博物館の企画展や当店のサテライト展をご覧頂くと
掴めてくるのですが、そのあたりを伺うのも
今回のトークイベントの楽しみでもありました。

まずはなにしろ、なぜ「歴史と星」を組み合わせようと
お考えになったのか。
ここだけの話、という理由も聞けていきなり面白かったですが、
歴史を学ばれる中で、宇宙というのは意外と
生活に深く根ざしているが気付いてないだけで、
でも『宇宙』というと遥か遠くの話になってしまって
距離感が難しいだけに皆さんも関心があろう、というのがひとつ。
もうひとつには、2011年3月11日の震災以降、
災害史も専門の中心に据えておられる、いうこと。
町の灯りが点かなかったあの日の夜に星が綺麗であった、
という証言も各地にあり…
それは昔の人も本当にまったく変わらぬ思いだったであろう、
ということも、星と歴史の不可分性を強く感じる
要因のひとつだったそうです。

学生時代も中世日本史、とくに地元でもある奥州藤原氏を
専門に勉強なさったという目時さん。
最初はいきなり博物館の学芸員になったのではなく、
学校の先生をなさっていたそうです。
そもそも歴史を志したのも、小中学校の歴史の先生が
とても面白く伝え教えてくれる方だったから、
ということもあって、歴史の先生もまた楽しかったそうです。

トークには当時の教え子さんもお越しくださって、
それがまた見事な作品をつくる職人さん!!
当店でも作品を展示させて頂いていますが、
作品の説明も、過程のお考えもとても素晴らしく深くて、
もちろん作品自体も凄く素晴らしかったのですが、
作家さんの作品への思いと、目時さんの評価・捉え方が
しっかりとつながっていること。

目時さんのお話の中に、歴史は師と弟子によって
つながっていく、という言葉がありましたが、
まさに体現していらしたことにとても感動しました。
歴史というのは、この世の物事が変遷していくことであり、
それらの変遷を記述・記録した成果のことでもあります。
『歴史』という言葉で、資料やなにかの出来事、事象を
さして言うとき、しばしば私たちは、その事象の中にいた
ひとりひとりの人間を忘れるのですが、
歴史をミクロに見ればひとりひとりの人間が生きていた
時間のことであり、その人間同士の関わり合いのことでもあり、
その関わり合いのなかで人々が何を思ったかを
想像するのも歴史である、ということを、
今回の展示と、目時さんのお話から強く感じました。
壮大なテーマの展示を、壮大でありながら
身近なものとして感じさせてくれた目時さんに
本当に感謝の気持ち…
ご来場の皆さんもとても前のめりで、
休憩時間も目時さんに代わるがわる資料についての
質問をされていて、とても熱い場になっていました!

ご参加くださった皆様、目時さん、
ほんとうにありがとうございました!!

