第32回知りたい世界、終了しました!

岩手県立博物館から学芸員さんをお迎えするシリーズ
(そんなシリーズはないんですが笑)、
5回目となった第32回の知りたい世界が終了しました!

ゲストの渡辺修二さんは生物部門・無脊椎動物がご専門。
当店の出張ミニ展示「Nature Positive」でも
絶滅危惧種の貝殻や昆虫標本を展示させていただいています。

例によって渡辺さんご自身の来し方から伺いましたが、
厳密に言うと、無脊椎動物とホネのご担当なんだそうです。
無脊椎動物とは、ざっくり言うと背骨のない生き物。
昆虫も魚介類の“介”も含まれます。(中学校でやりましたねぇ…)
もうひとつ、ホネの担当とは…?と思ったら、
簡単に判別できない骨が出てきたときに鑑定するのが
渡辺さんのお役目なんだそうです。

昔は歯科医院さんで使う歯の模型とかも
検体などによる人骨から作られていたんだそうで、
そういうのが地中からでも出てくると
樹脂でないのはすぐわかるから一応鑑定を…
とかなるんですって…知らない世界ですね~

背骨のない生き物担当であり、骨の担当でもある…
初っ端から学芸員ジョーク!
これぞ学芸員さんにお話を伺う醍醐味!

大学でのご専門は、といえばこちらはまた全然違って、
モデル生物のタンパク質や神経を研究したりしていたそう。
アメフラシの神経波形とかを見たりしていたけど、
考えの基本としては何の生き物でもDNAによって設計されていて、
神経は神経だから生き物の基本は一緒、という
大枠の話を研究する研究だったので、種のなかの違いとかは
あまり気にしない分野だったんだそうです。

昆虫のことを研究することになったのは博物館に来てからで、
おなじ種の中にもいろんな生き物がいる、ということを
痛感しておもしろくなったそう。
アゲハチョウとキアゲハの違いもわかんなかったのに、
とおっしゃってました(笑)
いや、飛んでるところみたらまあまあ区別つかないですよ。

学芸員のお仕事の中で、たとえば野外解説会の場で、
子どもが「クモいた!!」って持ってきたときに
ギャーって逃げるわけにもいかないので腹を据えて掴んだら
なんか慣れた、とか、いまの昆虫のご担当になられてから
ここに至るまでのお話で1時間。あっという間に1時間ですよ。
やっぱりこれが専門研究の面白さですね!

クモの解説する際、真似をする渡辺さんの身振り手振りが
とてもユニークで、いまではクモが可愛くてしょうがないのが
よく伝わってきました。
研究対象に似てくるのが学芸員あるあるですとのことでしたが、
生物分野の人だけじゃないかな…

昆虫の仲間は地球上のいたるところに生息していて、
わかっているだけでも約100万種。
ところが未知の種のほうがはるかに数が多く、
500万種とも1,000万種とも推定されているそうで、
地球でもっとも繁栄しているのはヒトではなく昆虫、
のはずなんですが…

私たちヒトは、普段の生活のなかでこれっぽちも意識しないまま
多くの生き物の命を絶ってしまっていて、
意識しないまま種ごと絶やしてしまっていることを
博物館さんの展示を見ると痛感させられます。

僅かな環境の変化でも生命の危機に直結する種も多く、
それをすべて防いで一匹も殺さない生活をするのは
もちろん不可能なんですが、ほんの少しずつでも
減らすのを防ぎ、減る環境にしてしまうことを防ぎ、
という努力は、私たちの日常の範囲にもいくらかの
余地があるそうなんです。

それが積み重なって、これまでの自然保護、
守ってやるというものでなくて回復軌道に乗せるのが
ネイチャ―ポジティブの考え方。
第一歩は、本当にとても身近なところにあります。

テーマがとても大きいので
イメージが付きづらい部分もあるかもしれませんが、
展示に行ってみると本当に私たちのすぐそばに
そのきっかけはあるんだな、と気が付きます。

そしてそれは、昆虫のことを知ること、好きにはなれなくても、
種類がこんなにいる、ということとか、
こないだ見たアイツはこういう名前で有名なアイツとは
実は違う種類だった、ということに気づくこと、
とか、とても身近なことから始まるんです。

まずは軽い気持ちで知り始めてみたら、
きっと楽しくなってくるはずです。
なぜ楽しいのかははっきりしないんだけど、
間違いなく加速度的に楽しくなっていく、
ということの実例を、渡辺さんとの楽しいお話から
つくづく感じさせていただきました。

笑いの絶えない120分、ご参加くださった皆様、
岩手県立博物館の渡辺さん、
本当にありがとうございました!!!