第11回 Talk About Book終了しました!

本に関するお仕事のお話を伺う「Talk About Book」。
いま開催中の写真展に合わせて盛岡にお越しくださった
写真家・星野秀樹さんをゲストにお招きしました!

星野さんの最新刊
「UNBOUND WANDERING あの日、僕が見た山」
を出版された信濃毎日新聞社出版部長・山崎紀子さんも
ご同席くださって、もう本当に贅沢!!な回でした。

長野県最北部、新潟との県境に位置する飯山市から
お越しくださった星野さん。
しかも当日はなんと!所属している消防団の
ポンプ操法大会があって、朝からそちらに出場した後
新幹線で盛岡へ、という弾丸スケジュール!!
週末には関東でダブル台風などとニュースになるなか、
ちゃんと新幹線が動くのか、という心配とともに
当日を迎えましたが、なんとか無事に到着されて、
たいへん安堵しました…

新刊「UNBOUND WANDERING あの日、僕が見た山」
にも描かれているように、人生のほとんどの時間
登山と向き合ってこられた星野さんに対して、
お会いするまでは峻厳な山々のような研ぎ澄ました印象の
登山家の方なのかな、と想像を持っていたのですが、
お目にかかってみるととても静かで、
穏やかな空気をまとっていらして、
ああ、そうか、山と向き合う人はむしろ
こういうふうに穏やかなんだな、と実感しました。

トークではまず写真展のことを。
星野さんがお住いになっている飯山市は、先程触れたように
新潟との県境に近く、標高も高くて日本有数の豪雪地帯です。
気候も、長野が属する中部地方と言うよりはもう
新潟側の北陸に近いんだそう。
昨シーズンは雪が少なかったとおっしゃいますが、
それでも積雪は2mほどだったそう!

家から少し歩けば森、というか山、という環境におられて、
その森や山のなかで見つけたことを撮影なさっている、
星野さんにとっては身近な写真の数々。
私たちの住む山国・岩手でも、とくに盛岡の日常生活では
あまり目にしないような自然の光景の一瞬を焼き付けた
美しい自然の写真は、見ていると森の中にいるようです。

アップで写した写真は、どんな風景・瞬間なのか
パッと見ではわからないものもありますが、
そのうちの一枚の解説を伺ったら、想像もしない
光景・瞬間で、ご来場の皆さんもびっくりしていました!
これはぜひ当店で、写真そのものをご覧になって
どれのことだか探してみてください。
本当にびっくりしますよ!

もしかしたら私たちも日々、一瞬一瞬に美しい光景が
視界に入っているのかもしれません。
美しい色の夕焼けや雲ひとつない青空、などであれば
まあまあその記憶は残っていたりしましすが、
もう少し視点を絞って、足元や眼の前に向けてみる、
そういうことを意識して感じ取ったり、
まして写真に残すということをできていないな、
と思い知らされます。

これを写真絵本にするのはとても大事なことだと感じました。
別のご著書「森のふしぎをさがしに」のなかにも、
そんな風景がたくさん紹介されています。
もっとたくさんの人にぜひ見ていただきたいと思いました。

新刊「UNBOUND WANDERING あの日、僕が見た山」には
5歳で初めて家族登山に行って以来、半世紀ずっと続けてきた登山、
そのなかで感じてきたこと、山に登り何を求めてきたのか、
というご自身の模索が綴られています。

その内容は他人が語っても意味のないことで、
ご本人の筆からしか伝わらないのでぜひお読みいただきたいのですが、
ただこの本ができるに至った過程は本当に面白かった!

写真絵本「山に登る」を書いた際、登山人生の
越し方を振り返るためにたくさんのことを
思い出したんだそうですが、それが本一冊まとめただけでは
昇華しきれず溢れ出して止まらなくなって、
もう一冊本を書かなくては、と思ったんだそうです。

その触媒として大きかったのが、小学生の頃の「登山日記」!
現物そのものを当日にもお持ちくださいました!
これは貴重…

「見てください、小学生の頃の登山日記が出てきたんですよ!」
と旧知の山崎さんに持ち込んで、これはすごいというところから
本が作られ始めたけれど、制作途中で「これはこのほうが」
「これはこうしたら」という著者と編集者間での
行きつ戻りつがぜんぜんなかったんですって!!

山崎さんは「星野さんは本当に文章がうまい!」と
絶賛されていましたが、原稿自体には口を出す必要がなく、
造本のことだけを考えればよかったから楽しかった~、
とおっしゃる山崎さんの笑顔が印象に残りました。
よっぽど楽しかったんだろうなあ…

ご参加くださった方から、横文字のタイトルが
ピンと来ないんだけどもう少し説明を、というご質問がありました。
副題に「あの日、僕が見た山」とも付いているんですが、
山に登るなかで、何を感じ、どう考え、何を得て
どう生きて、これからどう生きていくかが描いてある本なので、
“山登りの本”と思われると伝えたいことと違う、ということ。

本を作る途中途中のエピソードも本当に面白かったんですが、
なによりも、「伝えたいことがあるから書く」という
原始的な欲求こそが心情や光景を伝えるのにいちばん
大事なことなんだ、という基本をあらためて教わりました。

もう本当に、星野さんにもう一回、山崎さんにももう一回、
お話を聞きたいような濃密な、こころから面白い回でした。

ここに書いただけでは本当に一部しか伝わらないので、
写真展と、これからもお取り扱いさせて頂く
星野さんの本からぜひ感じていただきたいと思います。

ご参加くださった皆様、それに星野さんと山崎さんには
いろいろと心配ごとが起こった中で遠方からお越し下さり、
本当に本当にありがとうございました!!