第4回「書肆みず盛りの知りたい世界」終わりました

前回の興奮冷めやらぬ9月10日、
第4回「書肆みず盛りの知りたい世界」が
無事終了しました。

怪談師・オダギリダイキさんをお迎えして
いろいろと伺った2時間でした。

日曜日の怪談会でもそうでしたが、
淡々とした口調、過剰な抑揚のない声音で
「こんな話があるんです」と語られる怪談は、
おどろおどろしい、とか、身の毛もよだつ、
といった紋切り型の形容がまったく似合わない。

現代型の怪談はこういうものか、と感心しましたが、
なによりも、怪談に向き合うオダギリさんの
姿勢というか心持ちに蒙を啓かれました。

怖い話、不思議な話、超常の話に対して
ドキドキして好んでしまう性向であることは事実として、
しばしば人の死に言及せざるを得ない分野だからこそ、
敬意を持って話を伺い、話をする。
ただただ不謹慎に大騒ぎをしただけの馬鹿者が
youtubeにその様子を垂れ流して無用の諍いを生んだ例も
あるにはありますが、そういう
“エンターテインメントとして消費する”
ような怪談ブームには同調しない。
怪談を好んで話す人の全員がそっちなわけではない。

節度という言葉がぴったり当てはまるものではないでしょうが、
そういうような基準はきちんと持っていらっしゃると感じました。

オダギリさんは怖ければなんでも好き、なわけではないそうです。
たとえば、さんざん怖がらせた物語の最後に
「これを○日以内に○人に広めなければ不幸になる」
みたいなことを言うタイプの話は大嫌いだ、とのこと。

不快にさせたくて怪談を聞き、話すわけではないので、
“不幸になる”という枷をはめる話は面白くもなんともない、と。
むしろそっちの方向へ加速してしまうのが怪談の世界、
というようなイメージを持っていた私としては、
誤解をお詫びしなくてはなりません。(しました)

今回伺った怪談師になるまでのオダギリさんの半生に、
いま怪談師として活動し活躍されていることが
しっかり根を張って立っている、と感じられた会でした。
たぶん普段の怪談会ではこういうことは話されないでしょうから、
昨日参加された方はラッキーだったのかも。

The most personal is the most creative.
最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ

名監督マーティン・スコセッシの言葉を
2020年にアカデミー賞を複数受賞した
ポン・ジュノ監督がスピーチで引用しました。

これ、「知りたい世界」のコンセプトにもなるな、と
すごく思いました。
前回の阿部沙織さんも、今回のオダギリさんも、
自分の話なんか聞きたい!?とおっしゃるのですが、
それが面白いんです。

とても良い時間を過ごさせて頂きました。
オダギリさん、ご参加の皆様、
本当にありがとうございました!!