2020年に創刊した「季刊あおもりのき」。
前身は「あおもり草子」というタウン誌で、
創刊が1979年だそうなので私は同い年。
2019年に終刊して40年の歴史を終えた。
毎年夏にはねぶた・ねぷた特集号を発刊し、
ねぶた師はじめ関係者はそのバックナンバーを
何冊持っているかを誇るのである、
とねぶた作家・太田さんから聞いていた。
半分冗談ではあろうが、そういう愛着を
持ってもらえる雑誌だったということでもある。
並大抵のことではない。
その編集長も務めた方が後を引き継ぐ形で
つくられたのが「あおもりのき」で、
2020年夏のねぶた特別号から、
青森の風土、風物、歴史に根ざした特集を、
「じっくり編む」とでもいったように
作り込んでいる。
すぐお隣なのに知らないことばかりの県のことを、
充実した内容で教えてくれるのはもちろんだが、
各ページに載っている広告が良い。
地元の企業の名前もキャッチフレーズも新鮮で
旅行で行った先でみかける広告やニュースのように
味わいぶかい。
隅から隅までじっくり読みたくなる。
それになにより、私の子どもの頃の大スター、
伊奈かっぺいさんが現役で寄稿している、
これが嬉しい。ひとり漫談の「だびよん劇場」
というのを、当時はカセットテープで
車でも自宅でも聞いていたが、ジャケットは
かっぺいさんの手描きだった。
その懐かしい、見事な文字とイラストが
A4の1ページを埋めている。
本当に楽しい雑誌である。
ネタバレは本意でないのだが我慢できないので
書いてしまうが、最新第15号(秋号)の終盤、
“東京の青森人”記事の主人公は、東京・巣鴨で
青森料理の居酒屋を営む“原辰徳”さん。目を疑う。
まさか某球団の監督だった人ではあるまいが、
よその土地の地域誌のこういう記事、たまらん。