第6回「書肆みず盛りの知りたい世界」終了しました

「書肆みず盛りの知りたい世界」第6回の今月は
展示中のねぶたを制作したねぶた作家、
太田空良さん!

先月の三陸ジンジャー・菊地さんもそうでしたが
好きで選んだ道の知識、その周辺の知識の
深さが半端ではない!!
2ヶ月連続で、かなりディープな知の展開を
目の当たりにしました。

8月に青森で行われるねぶた祭り、運行する大型ねぶたは
歴史上の人物や出来事がテーマになって作られることが
多いですが、「ぱっと見てわかる」ことだけを重視すると
毎回同じようなテーマ、構図で作ることになってしまう…

第七代ねぶた名人・竹浪比呂央さんに弟子入りして
ねぶた師を目指すほどの空良さんですから、
そこはテーマに独自性を持たせることを追求しているそう。
なにしろ師匠の竹浪さんは、毎年「青森の歴史」を題材に
大型ねぶたの製作を依頼されてもう二十数年、
それを成し遂げているそうです。
青森の地域史、土着の民話などにも自然と詳しくなるというもの。

空良さんの描くねぶた原画の題材は、そんな師匠でも
「そんな話があるの!?」と驚くものだったのですから
掘り下げの深さを窺い知ることが出来ます。

全国的な歴史にも、青森を中心に地域史にも、
仏教中心の宗教史にも、専攻の絵画史にも詳しくて、
単にエピソードを暗記しているだけではなく、
他の逸話や時代、地域との関連性までつながっていく
お話の内容は、まさに研究者のものでした。

立体になるねぶたも、その前のねぶた原画も
描くための基礎知識がこんなに膨大に必要なんだな、
とクラクラしました。

今回当店で展示しているねぶた原画も、
オペラを題材にとって見事にねぶた絵に仕上げたもの、
著名な歴史上の人物に起こった出来事の
別のシーンを切り取ったものなど、多彩で奥深いものばかりです。
一点だけ細かくご説明頂きましたが、この話も
ものすごく興味深かった…
作品すべての説明を伺いたいぐらいでした。

いつから「ねぶた」や「ねぶた絵」が好きだったかと
伺っても物心ついたら好きでチラシの裏に描いてた、
というぐらいですから、もうねぶたを描き作るために
生まれてきたような空良さんですが、そのぐらい好きでないと
こんなにも深くその世界に潜っていくことは出来ないんですね。
感動しました。

お隣の県でありながら
なかなか見に行く機会が難しい「ねぶた祭り」ですが、
幼少期の記憶を更新しにまた見に行きたいと、
強く思ったトークイベントでした。
空良さんもそう遠くない日に大型ねぶたを
手がけることになるのでしょうし。
知り合いだって言って自慢したろ。

太田空良さん、ご参加くださった皆さん、
本当にありがとうございました!