第13回「書肆みず盛りの知りたい世界」終了しました

しし人形作家・はる屋さんをお迎えした
「書肆みず盛りの知りたい世界」が昨日終了しました。

はる屋さんのしし人形たちのすごさを7~8年前に知って、
いま毎日見ている私としては大変に楽しみだった会。
じっくりお話を聞けて大満足です!

とにかく実物を見ればわかりますが、
手のひらサイズのちょうど可愛い大きさの人形に、
目を疑うような細かさ・正確さで装束の絵が描かれています。
絵筆で描いてるのもびっくりですが、ひとことで言えば
「なんでこんなことできんの!?」みたいに思うわけです。

その辺を伺うと、返ってくるのは、ようするに愛。
鹿踊りから始まり、民俗芸能・伝統芸能が大好きになって
それをとにかく表現したい!という気持ちひとつで
この繊細な、驚異的な作業を続けている、ということ。

そもそも、塗っているとき、完成に向かっている時が
もの凄く楽しくて一番好きなんだそうです。
見る人見る人驚嘆する、装束の紋様の細密さなどは
大変じゃないかと思うんですが、ご本人にしてみれば
デフォルメとスペースの都合上割愛せざるを得ない、
本当はもっと描きたい!なんですって。
大変な作業だからといって苦痛なわけでは
ぜんぜんないんですね。すごい!けどわかる!

はる屋さんご自身は、小さい頃から郷土芸能が大好き
ということでもなかったそうで、大人になってから
急に装束とか動きが格好良い!と感じ始めて、そこから
のめり込んできたのだそうです。
とはいえ、張り子の郷土玩具などは前から可愛いと思って
好きだったので、ともおっしゃっていましたから、
紙粘土で作るしし人形の原点は、春を待つ芽のように
心の深くにあったのかもしれませんね。

しし人形だけでなく、「郷土芸能応援誌じぶんち」という
郷土芸能を紹介し、団体さんにお話を聞く本を作っておられます。
これもまた、郷土芸能への愛ゆえにすんなりと仲間と出会い、
その仲間が印刷編集関係の仕事をしていたプロだったので
ごく自然に質の高い本になっていった、というのが
導かれているようで、聞いていて面白かったです。

現在のお仕事柄、高齢の方とお話しする機会も
とても多いのだそうですが、そういうときに
昔の暮らし、風習、生活の話などを聞くと、
もったいない、これを残したい!と思うのだそうです。
「じぶんち」もまさにそうやって作られたもの。

今回のトークで伺ったエピソードもまさに私も大好物で
いくらでも聞いていられるような面白い話。
同じように、民俗芸能も伝えたい、残したいと思う気持ちで
作っている部分もあって、そこもとても共感しました。
共感しても、とてもじゃないけど同じには作れないですけどね!!

なにかをつくる、生み出すときに一番大事なのは愛情、
対象を好きだと思う気持ちなんだなあ、と再確認しました。

はる屋さん、お越しくださった皆様、
本当にありがとうございました!!