自主出版
長谷川佳江
2020年6月21日発行 23×22.5cm・80頁 本体2,273円+税

兵庫で生まれ育った写真家が、神戸の下町・長田町にある
鉄工所で職人さんたちの仕事風景を撮った写真集。
火花が派手に飛び散る溶接作業の写真も多いが、
どんな作業も命の危険と隣り合わせで
真剣な、必死の表情がやはり素晴らしい。
町工場の作業も、一瞬でも気を抜いて目を切れば
簡単に大怪我をするし、悪くすれば一命にもかかわるのだ。
写真に写るためのポーズを取っただけでは出せない真剣さが、
モノクロームで、コントラストが強く、
粒子のはっきりした印刷によって
より強く表現されている。
いわゆる肉体労働の様子を表すのに、
こういう表現は一番向いている、と感じた。
著者は幼少のころから町工場に行くのが大好きで、
だが「子どもは危ない」と制止されて(当然の責任である)
中を見ることが叶わなかった。
写真家になって、こういう写真集の企画を立てて、
大人になったし企画内容も町工場のためになるんだから
きっとOKが出るに違いない、と撮影のお願いに行くと、
予想外にけっこう断られたそうである。
意気揚々と向かった姿や断られてもくじけなかった姿が
目に浮かぶようでたいへん微笑ましいが、
そのぐらいの気持ちで「本当に撮りたい!」
という思いがあったからこそ実現した写真集なのだろう。
その後に出版された「鉄のサムライ」と合わせて、
ぜひ手工業の静かな熱を感じていただきたい。

