丸善株式会社出版事業部
桜庭文男
2008年11月10日発行 B5判変形・122頁 税込2,800円

秋田在住のカメラマンが、30年にわたって撮り続けた
東北6県の茅葺き古民家写真集。
雪に埋もれて耐えるように立つ冬、
周囲で咲き誇る花の色を引き立てるような春、
強い陽射しから守ってくれる濃い影を作る夏、
収穫した実りに囲まれて落ち着く秋、
四季に合わせて様々な表情を見せる茅葺きの家。
定型文の表現のようだが、本当に表情があるのだ。
新建材によろわれた家には望むべくもない、
その中に人が生き、生活が息づいているような
人間そのものを感じる表情である。
本書に映る家の中には、今はもうないものもあるだろう。
この家に暮らすことができるのかと言われれば、
それは様々な面でとても難しい。
それでも、こういう家で人々が暮らしていたことを
記録だけでなく目で見られるように残していくことは
絶対に必要で、絶えてはならないと感じる。
いまつくられる家の快適さや工夫は、
こういう家があったという歴史から生まれている。
これは、もしかしたら設計する者にしか
わからない感覚かもしれないが。
そのことだけで何万字か書けそうなテーマである。
すでに書店では手に入らなくなった、
貴重な記録、資料と呼ぶべき本。
