詩集 MANAGU[童眼]

リヴァープレス社 編著:三上信夫
1998年1月1日発行 B6判変型172頁 本体1,429円+税

リヴァープレス社から発刊された同名の写真集と、
同じ著者による編。

昭和30年代、辺境の交通不便な地方の学校をまわり、
子供たちの勉強を見て、先生方と話し合って
子供たちが勉強しやすくなるように相談する、
それが三上氏の仕事だった。

そのなかで触れあった子供たちの書いた作文や詩を、
ガリ版刷りで文集や新聞にしたものを、
三上氏は学校からたくさんもらった。
そこから選んだのがこの詩集である。

働いた手 ぶかっこうな手
ちょっと見れば
男と まちがえられる手
たわしがけした 手
ひびを きらした手
骨が 太くなった 手
一生 なおらない手
薬がほしい
骨までなおる 薬がほしい

当時中学3年生の、女の子の詩である。
とてもではないが、平静な気持ちでは読めない。
魂に触れる、揺さぶる言葉とは、たぶんこういうものだ。

いまの子供たちは、学校の授業でどんな詩を書くのだろう。
どちらが良いとか、悪いと言いたいのではない。
きっと、違う形で心を揺さぶられるだろう。
ただ知りたい、いまの子供たちの言葉を。