数の悪魔 普及版

晶文社
ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー 文
ロートラウト・ズザンネ・ベルナー 絵 / 丘沢静也 訳
2000年9月5日発行 A5判・264頁 本体1,600円+税

翻訳書なので当たり前なのだが、言い回しが
日本語よりまわりくどい感じになってしまうので、
すらすらとは読みづらい。
が、書かれていることの面白さに引き込まれて、
あまり酷く気になる感じではなかった。
このあたりは人によるところなので、試してみて頂きたい。

小学生のころから感覚が完全に文系だった私は、
数学の数式を「そういうものだからそう覚えよ」と
一方的に順番に教えられることがうまく受け入れられず、
より苦手意識を深めていった。

いまではだいぶ見方も変わったので、
「数」という概念そのものや、その規則性、法則性は、
人間が作ったものでありながら、時に人の手を離れた
調和や美しさが備わっているように見えて、
その世界にはまり込む人々の気持ちもわかる気がする。

1×1=1
11×11=121
111×111=12321
1111×1111=1234321

こういう遊びというか発見は、誰しも子供のころに
計算機をいじって遊んでいて気付く程度の初歩の不思議さだが、
いまあらためて見ても軽い驚きがある。
なにか理由があるでもなく、そういうもの、でしかないが、
このへんから面白さを説かれ始めていたら、
私の脳みそもずいぶん回路が違っていたのではないかと思う。

著者のエンツェンスベルガーは、詩人として有名だそうだ。
友人に教えて頂いて初めて知った。
文系・理系の垣根についても、考え直すべきである。