なくなりそうな世界のことば

株式会社 創元社
吉岡乾 著 / 西淑 イラスト
2017年8月20日刊行 B5判変形・112頁 本体1,600円+税

バスク、ウェールズ、フィジー、アイルランド。
どれも割と耳に馴染みのある地名である。
この4つの地域の言語は、どれも話者の数が6桁(数十万人)
しか存在しないのだという。
そのことに、衝撃にちかい驚きを感じた。
岩手弁をしゃべる岩手県人より少ない、ということだ。


この絵本はシリーズの他の絵本と同様に、
日本語の単語に訳するのが難しい言葉とともに、
それぞれの言語が紹介されている。

人類のもつ「文化」の最たるものが言語である。

「文明」は、ひとつのものにより多くの人が参加し、
共有して広がっていくことを目的とする。
「文化」は、あるつながりの中でだけ共有され、
純度が高いほど面白い。(雑な表現だが)

「翻訳できない世界のことば」にもたくさん載っていたが、
日本では単語ひとことで表せない考え方やできごとを、
他の国では単語として表現できる。
これは単に言葉が違うのではなくて、価値観が違うのだ。

自分には馴染まなくても、それを大切に思うひとがいる。
世界は広く、自分の見も知らぬことがまだこんなにもあると
感じられるのは、とても愉しい。

本書のなかで私は、ウェールズ語のページで紹介される
ひとつの言葉に、しばらく先へ進めなくなるぐらいに
考えさせられた。
その単語を、うらやましいと思った。

この絵本は、ページをすみずみまでよく見て欲しい。
世界の広さや、多様性の儚さを感じられると思う。