ニッポン全国 懐かしのご当地パン図鑑

オークラ出版
2016年11月29日発行 A5判・127頁 本体1,500円+税

10年ほど前パリに行ったとき、パンが美味しくて
びっくりした。
泊まった宿はテレビがないので2つ星だったが、
部屋は広かったし清潔で、朝食の時間に食堂のテーブルに
(食堂とも呼べない、廊下の隅の広くなった一角だったが)
カゴに入れて無造作に置いてあったパンが
びっくりするぐらい美味しかったのである。

当時の東京はもうハード系パンブームの真っ最中だったし、
そのホテルの、泊まった部屋の真向かいにもPAULがあったが、
ホテルのパンは食パンやバターロールだった。
やわらかい日本のパン(?)が好きだった私には
とても嬉しかった。

この本に載っているパンは
みんなやわらかパンである。
懐かしの、と銘打ってあるから当然のことではある。

やわらかパンが日本独特の物なのか、
よその国にはあまりないのかどうかは
私にはよくわからないのだが、
たとえば、あんパン・味噌パン・甘食なんかは
まちがいなく日本生まれだろう。

ハード系のパンが不味いわけでも嫌いなわけでもないが、
子供の頃から食べ慣れたものが
妙に心にしみこんで、腹を空かせるのは確かである。

岩手からは、相馬屋菓子店さんとオリオンベーカリーが
ラインナップ。
オリオンのパンは、小学生時代の給食でも出ていたし、
本書に紹介されているパンの包装も、
古くさくて懐かしく、腹が減る。