藤森照信のクラシック映画館

青幻舎
著 藤森照信 / 写真 中馬聰
2019年9月10日発行 A5変型判・232頁 本体2,500円+税

これから先、用途が映画館のみ、という形態で
ビルが新築されることがあるのだろうか。

たぶん30年ぐらい前までは、
「映画館」という言葉は建物そのものを指していた。
いまでは、ショッピングモールや商業ビルの一角、
まるごとワンフロアを占めていれば大きいほう、
というのが当たり前になっている。

本書に紹介されている映画館に、現役は少ない。
中馬聰さんの写真を見ると、行ったこともないのに
郷愁を感じる。
これからも失われる一方であろう建物の
盛衰を丹念に追い、記録してある。

映画館に限らず、失ってからその大きさに気づくものを
こうやって記録していることの偉大さ、
そうしてくれた人のありがたさを
思わずにはいられない。