ひと声かければ5分で片づく!子どものお片づけ

青月社
橋口真樹子
2014年7月1日初版 四六判・248頁 本体1400円+税

「危ないから包丁を決して触らないように」と
幼少時代、母から強く言われて育った。

小学何年生の頃だったか、
ある時母の料理の手伝いをした際に
急に、人参を切るように言われた。
どう切ったらよいか尋ねると
「どうでもよいから、適当に切りなさい」
と言われて、とても困惑した記憶がある。

ある時期になれば包丁を扱うことも
人参を適した大きさに切ることもできるようになって当然で、
できないのは自分の能力が足りないからなのだと、
子供心に落ち込んだ。
それ以来、料理への苦手意識は拭えないままだった。

「片付け」はどうか。
赤ちゃんに「片付けて」という人はいないだろうけれども、
2歳、3歳…と年齢が上がるにつれて
自然と「片付けて」と言うようになっていないだろうか。

包丁と同様、最初から上手に片付けられる子などいない。
片付け方のわからない子供に唐突に「片付けて」と言っても、
上手く片付けられなかった子は「自分が悪いのだ」と
落ち込んでしまうかもしれない。

本書は「子どものお片づけ」という題名であっても
大人も片付けについて理解できる内容になっている。
そのうえで、片付けは生きる力を育むものであることを
明るく読みやすいタッチで説明してくれている。

自身も片付けにはずっと苦手意識があった。
自分にはセンスがなく、その方面の能力が
欠如しているのだと思っていた。
整理収納を学んだいま、
人参を上手く切れなかったのは方法を知らなかっただけであり、
片付けへの苦手意識もまた、定義や方法を知らなかっただけと
実感している。
そこには自己嫌悪の意識は、もはや無い。

片付けに少しでも悩みがあるという人には
子どもがいてもいなくても
読んでみてほしい一冊である。