星の辞典

雷鳥社
柳谷杞一郎
2016年11月29日初版第1刷発行 B6判変形・288頁 本体1,500円+税

星の辞典という名前のとおり、
恒星の解説や月の呼び名のことなど、
夜空に関することがいろいろと書いてあって
秋の夜長のお供にするにはもってこいの本。

私はきちんと読むまで星座の本と勘違いしていたので、
嬉しい誤算だった。

星座、というと星と星をつないで動物や器物の形に
(ときに無理矢理)結びつけた形、と思っていた。
実際、それのことも星座とは呼ぶが、
そっちの星座は英語ではアステリズム(asterism)と
別の名がちゃんと与えられていて、ただ星座と言うと
天文学会ではコンステレーション(constellation)の意味。

天球を赤経・赤緯の線に沿った境界線で区切った領域のこと。

と説明されていて、第一義はこちらなのだそうだ。
見るのが一番早いと思うので引用させて頂くが、
ぜひこちらのサイトをご覧頂きたい。
びっくりすること請け合いである。

多摩六都科学館『星座ってなんだっけ?』

私はびっくりした。
アステリズムのほうをこそ星座と思っていた。
聖闘士星矢の見過ぎなのであろう。

と言っても、起源から言えばアステリズムのほうが
早そうではある。
古代エジプトの遺跡に、現代とは違うが
星の並びを絵にした物が遺されていたらしい。

星の見える位置は季節によって変わるが、
星と星それぞれの位置関係は変わらない、ということに
最初に気づいた人に大変興味がある。
そして、その位置関係を把握すれば
季節とか自分の今いる場所が割り出せると気づいた人に
大変たいへん興味がある。
何食ってればそういうことに気がつけるのだろう…

どの星がどれであると単体で識別するのは、
想像しただけでも大変そうである。
それを少しでもつかみやすくするために
神話や言い伝えと関連付けて図形にした人も、
どうしてそれを思いついたのか尋ねたら
何時間でも聞いていられそうである。
かなりこじつけっぽいのもあるから楽しそうである。

自然科学の起源の話なんて、どの分野だって
面白いに決まっているが、
星だけはなにか格別に想像を促すような気がするのは
手が届かないから、なのだろうか。