みちの奥のバリ2 祈りと花とコーヒーと

梨乃木社
三上れい子
2023年10月31日初版発行 B6判・148頁 本体1,500円+税

約40年、盛岡とバリを往来した著者によるエッセイ。

舞踊芸術のケチャ、その伴奏に使うガムランなどの
音楽も世界的によく知られて、独特の空気を持つ
観光リゾート地として憧れの島、バリ。

土着の信仰、インド仏教、ヒンドゥー教が習合した
バリ・ヒンドゥーという信仰を、人口の90%が
奉ずるところから「神々の島」と呼ばれているぐらい
信心深い人たちが暮らしている。
観光業が主な産業であるのは確かだが、
そのほかには第一次産業、特に商品作物の栽培が盛ん。

著者も事情によりコーヒー畑のオーナーになって、
時期ごとに農作業を手伝いに、今でも渡航している。
単に金持ちが観光している記録、ということでは
まったくなく、バリの人々の暮らしにかなり密着し、
著者自身も深く根を張っている。

そういう立場の人が見たバリ島の人々の暮らしを、
飾り気なく綴るエッセイゆえ、人々が身近に感じられる。

異常気候は日本だけの話でなく、バリにもいろいろな
ありがたくない影響もいろいろと出ているようだが、
それも含めて人々が生きている姿がよく見える。

のちのち、こういう“記録”はとても重い価値を
持つようになる気がする。