『手紙を書くよ』

十七時退勤社
橋本亮二
2022年11月20日 第1刷発行 四六判・180頁 本体1,400円+税

スタッフ間で、折に触れて機会のあるごとに、
メッセージカードのようなものを贈り合う
という文化のある職場に勤めたことがある。

素晴らしい行動を見かけたときや
謝意を示したいときなどに、
その人に向けて手書きし、手渡す。
決して義務ではない。
この人に書きたいと思ったときに、書く。

だから、書いているときは
その人のことを心から考えている。
どう書いたら気持ちが伝わるか、喜んでもらえるか、
少しでも活力にしてもらえるだろうか。

そういったことを考えながら書く時間は
とても幸せに感じる。
もらったときに嬉しいのはもちろん、
書いているときも嬉しいのだ。

橋本さんも、手紙が好きだそうだ。
この本では5人の方との往復書簡が紹介されているが、
本全体から優しさが伝わってくる。
互いに、互いのことを思って
書いている様子が伝わってくる。
読んでいてとても穏やかな、優しい気持ちになれる本だ。

そしてこの5人の方々は
本や本屋に関係しているが
当然ながら、生きている場所も現在の仕事も全く異なる。
そういう様々な人たちとの往復書簡を見せていただくことで
なんだか自分もそこに混ざったような
気持ちも味わうことができた。
まるで佐渡や、四国に、いってきたみたいに。

そういえば、郵送する手紙は最近さっぱり書いていない。
近況を伝えたいし、知りたい人が、遠くにいる。
また書いてみようと思う。